ご存じ、東京三大祭りといえば、神田神社「神田祭」浅草神社「三社祭」赤坂日枝神社「山王祭・天下祭」ですね。
京都では、上賀茂・下鴨神社の「葵祭」八坂神社の「祇園祭」平安神宮の「時代祭」などが有名かな。

熊野神社でお世話になっている私としては、和歌山・熊野三山の祭りをぜひ見に行きたい。
残念な事に、熊野速玉大社の「お灯祭」は女子禁制の祭りらしい。
宮崎・高千穂神社の11月から2月にかけて行われる「夜神楽」神迎えから神輿渡御。夜を撤しての神楽舞い。神秘的な祭りです。そして、旧暦の10月神無月に行われる出雲大社「神在祭」全国の八百万の神たちを迎える祭りなど、全国には多くの祭りがあります。

三社祭 本社神輿渡御
三社祭 本社宮出し

千鳥担ぎ
新宿十二社、熊野神社の担ぎ方です。
大変珍しい担ぎ方で、見た事ない人が多いかも…。
担ぎ声は「おいさ、ちょいさ」が主。「よいとぉ、よいとぉ」
「どしたい、どしたい」軽快なチャンチキリズムと先棒(はなぼう)の担ぎ方が特徴。 肩に入れるのではなく、首の後で受け止め、両手を添える。腰は折らない。足をチョイチョイ出して進む。千鳥足の如く…なかなかハードで難しい。担ぎ手が減っている様で、貴重な祭りだと思います。残していきたい担ぎです。
毎年9月第三の土日に行われます。ぜひ見に来て下さい。

わっしょい担ぎ
水掛祭りで有名な、深川神明宮・富岡八幡宮の担ぎです。

担ぎ声はもちろん「わっしょい」。
この地域では「神輿はわっしょいだろう」と云う人は少なくない。ここでは、「そいや」は禁句だそうです。
神輿を差し上げる時には、一度地面近くまで下げてから、勢いよく差し上げます。勢いのある担ぎです。
2003年は、消防団の放水による水掛けがあり、見応えがありました。

四ッ谷担ぎ・さっさ担ぎ
大枠は千鳥担ぎと同じです。四ッ谷須賀神社の担ぎです。
「さっさっさっさ…おいさ」の担ぎ声で始まります。やはり、担ぎ手が少なく、睦によっては、江戸前担ぎをしています。

城南担ぎ・横田担ぎ・カニ担ぎ
品川地域に多いかな。鮫洲八幡神社・大森神社など。
カニのように横に広がっている感じ。長いトンボが6本。太鼓が付いています。担ぎ手は進行方向ではなく、神輿に向かって担ぐ。神様にお尻を向けないという事みたい。
担ぎ声は「ちょいちょい」と太鼓にリズムに合わせます。

江戸前担ぎ
東京中心に定番な担ぎですね。三社祭・神田祭・鳥越祭などなど。担ぎ声としては「そいや、そいな」「うり、ふり」が多い。担ぎ手は、腰でリズムをとる感じ、神輿を揉みます。お馴染みですね。

どっこい担ぎ
神奈川、湘南地域に多い担ぎ。
茅ヶ崎の浜降祭・鎌倉の五所神社など。浜降祭などは、40基ちかくの神輿が海岸に集まり、海に入っていく。壮観です。
担ぎ声は「どっこい、どっこい」「よ〜いと、よいと」
神輿横に箪笥がついている事と甚句が特徴。膝を大きく屈伸させてゆったりリズムに合わせて担ぎます。
二天棒がほとんどで、トンボはありません。

横田担ぎ
羽田地域に多い。羽田神社、大田区の六郷神社など。担ぎは荒く、大波に揺られる船のようです。4本あるトンボの担ぎ手たちが、跳びはね、振る場面がすごい。かなりハードそう。
担ぎ声は「横田でおいで〜おいっち、にい、さん」

半纏
半纏は「絆纏」とも書きます。
絆(きずな)を纏うという意味。
お揃いの半纏を着る事で、連帯感が生まれ、神輿担ぎにも気合いが入りますね。
半纏を纏わないと神輿は担げません。
絶対条件です!
そう、帯はやっぱり締めた方がよいですね。気持ちが引き締まりまキ。帯なしだとだらしなく見えますよ。
帯の結びもいろいろです。「貝の口」「十字結び」「浪人結び」などなど。

心意気
火消しと担ぎ手には、似たものを感じます。火事場の喧嘩と祭りの喧嘩。祭りの喧嘩は神輿周りで起こる。
睦ごとに制作する神輿は、木地師、宮師、塗師…と多くの職人によって作られています。
睦、担ぎ手の思い入れも強いもの。どの睦よりも粋に、かっこよく担ぎたい。 一番にみられたい。
火消し同様、担ぎ手にも負けず嫌いが多い。神輿はひとりでは担げない。睦全員、気持ちを合わせて担ぐもの。列を乱す者には容赦ない。神輿からはじかれる。神輿が乱れれば、仕切っている青年部にも罵声が飛ぶ。
担ぎ手にも気合いが入る。神輿担ぎは、とても熱い、厚いものなのです。
纏持ちは火消しの花形、先棒の担ぎ手は神輿担ぎの花形になる。
神社所有の本社神輿。一段と格式高く、由緒ある大きな神輿。
三社祭や鳥越祭などの宮出し、宮入りはすごい熱気と殺気です。機動隊が待機する厳重警備の中で神輿を担ぎます。
毎年、指や足が飛ぶ…最悪、命も飛びます。それでも、毎年多くの担ぎ手が集います。担ぎたい、じっとしていられない。血が騒ぐ、それが江戸っ子気質。
命を懸ける火消しも担ぎ手も、粋といなせな厚い心意気を持ちあわせていると思うのです。

手拭い
手拭いは、手を拭くとかではなく「かぶりもの」です。
昔は、頭をむき出しにすることが非礼と考えられていたそうです。
その為、当時から神輿や祭りに際しては、不浄な頭を被る意味で用いられていたみたい。
ねじり鉢巻きだけでなく、被り方もいろいろです。「くわがた」「ねじり」など。ちなみに私は「けんかかぶり」。
手拭いは、睦ごとのデザインもあり、名刺代わりに使用したりもします。

左:けんかかぶり 右:くわがた

足袋・わらじ
雪駄で担ぐ人もいるのですが、ちょっと迷惑かな。担ぎ手には、前後の間隔がほとんどない状態。前の人が雪駄だと踏んでしまうのです。気を使うし、当人も担ぎにくいと思うのだけど。
革靴なんてはとんでもない。昨年の祭りで思いっきり踏まれ、かなり痛い思いをしました。その人は、半纏は着ているけど足下みたら革靴だった…
かなりむかつきました。素足で担いで!
他に、鯉口シャツ・股引き・腹掛けなど祭りグッズはいろいろありますよ。

江戸の華
祭り・神輿を見物している人たちから起きる、大きな歓声や拍手は、担ぎ手にとって、それはうれしく、励みにもなっているものです。
荒々しい中にもたくましさを、担ぎ手の熱い思いを感じてもらえたからこそ、起こるものだと思うのです。
江戸町民と火消しの間にも同じ光景が、あったのではないでしょうか。
江戸の華と云われるには、双方の気持ちが合ってこそ、成り立つものかもしれない。

左:股引き 右:腹掛け