資産家となった九郎。しかし、山と積まれた財産を隠す場所がない。思いついたのが、武蔵野山中に隠し埋める事でした。
下男を連れて埋めに行くのですが、秘密が漏れる事を恐れた九郎は、帰路で下男を川に投げ込み殺してしまう。殺された下男は十人以上と云われています。
投げ込まれた橋というのは、今の淀橋。姿が見えなくなる橋という事から「姿見ずの橋」「面影橋」と云われたそうです。後に、変わり果てた姿を現わす橋が「姿見の橋」今の小滝橋になります。

九郎の一人娘・小笹の嫁入り道中。「姿見ずの橋」にさしかかると、熊野神社の方角より黒雲がわき出て、突然の大雷雨となったそうな。
娘は蛇と化し、踊り狂い、十二社池に飛び込み姿を消してしまいました。九郎は、神の祟りだと今までしてきた事を懺悔し、当時名の通った小田原、最乗寺の住職に十二社池で祈祷してもらいます。
すると、娘は元の姿に戻り昇天しましたとさ…という昔話。
1424年、九郎は、自宅を壊し寺を建て(中野本町の成願寺)仏門に入ったそうです。成願寺には、九郎の石碑があり、大観通宝のモチーフが寺のいたるところに使われています。

姿見ずの橋

面影橋

淀橋

姿見ずの橋

小滝橋

十二社の滝
「江戸名所図会」錦絵
二代歌川広重

角筈熊野十二社
「江戸江戸百景」歌川広重