こころのカタチ

紙、筆、素材。天気、空気、湿度、温度。道具も素材も、その時々で微妙に変化している。
墨の濃さ薄さで、描きたい線が出せなかったり、描き込んでも描き込んでも描けなっかたり。
大事なことはそれに気分だ。人は時としてやっかいなもので、楽しい時、うれしい時、悲しい時、辛い時など、誰しも精神面での動きは必ずあるはず。
気分によって描ける、描けない。その時の気持ちが形がつくる。その時のこころにあるものを表現してみる。
うまく描けるかどうかはさておき、こころを描く、わたしのこころギャラリー。気分で描いていきます。

2024.02.12

新書体「アメンボ」

もう2月。元日早々、能登半島地震。想定外だったが、いつ何時何が起こるかわからない。関東にもいつかくると思ってないといけないけど、天災は止められないから、覚悟だけは。コロナもまだあるんだろうが、マスコミが騒がなくなったので、随分ゆるみはあるし.怖さも薄れてきたような。戦争はまだまだ続くのだろうか。いい年になって欲しいと思うが。昨年10月末は予定通り4年ぶりの中学の同窓会で山口バスツアー、帰りに降ろしてもらって行橋。40数年ぶりに先輩たちと再会、若かれし頃の話で盛り上がった。楽しかった。その後里帰り。高校の同級生と飲んで騒いで、久しぶりにゆっくり。先の方が短くなれば、過去も懐かしくなる。歳をとる事はわるいことばかりじゃないよな。こんな歌を思い出した。
♬歳をとるのはステキなことですそうじゃないですか
忘れっぽいのはステキなことですそうじゃないですか♪
時代を歌った歌姫の歌。やっぱり詩もうまいよな。
むかし実家の前にはよその田んぼがあって、裏手には小川があって、川でフナ釣り、田んぼで虫を採ったり、レンゲ草を摘んだりして遊んだもんだ。田んぼには牛を飼ってた農家の人が畦道に牛をつれてやってくる。牛がいると畦道は怖くて通れなかったもんだ。随分前に実家は道路整理で立ち退き移転。小川もすっかりコンクリートで整備され、きれいになったが、牛も人ももういない。その景色は今はないが、懐かしい光景は頭の中。そんな事を思いながら「アメンボ」を制作した。次は「こちどり」。夏頃には。

2023.09.30

新書体「ルート7」

朝夕はだいぶ涼しくなってきたが、今年の夏は特に暑かった。来年もこんなに暑いんだろうか。災害も多くなってきてるし、農作物の被害も多い。今まで普通に食べていたものも食べれなくなってしまうのだろうか。困ったもんだ。
9/19からアジア競技大会が始まった。いろんな種目があるんだなぁ。と改めて思うが、興味あるところだけつまみ見しているけど、日本人もいろんな種目で活躍してるな。かなりアスリートのレベルも上がっているように思う。戦後余裕のなかった時代はスポーツにお金をかけることができるのは一握りで凡人にはそうゆう道は、なかったんだと思う。景気が悪いと言ってもまだまだ裕福なんだな。人にはいろんな人生があると思うが、一生何の苦労もなくて終われる人はそれでいいとして、何らかの苦難、困難を乗り越えて目標に向かって生きていくんだと思う。そんなことを思いながら制作した「ルート7」。シンプルに、ごくごく普通に、使いやすさ、読みやすさを目指した書体。9年前になるのか。「タイプ7」を制作したものの妹分。角を落として、柔らかくまろやかに。まだまだ制作は続く。北へ北へ。次は「アメンボ」来春までには。
コロナもインフルも忘れてはいけないが、10月末は4年ぶりの中学の同窓会。萩、津和野に行く予定だが、何十年ぶりだろう。長門峡を歩いた記憶がある。紅葉は少し早いのかな。その帰りに私の人生の出発点、行橋の先輩たちに会って来ようと思っている。もうみんな年取ったから元気なうちに。

2023.06.26

新書体「ホタル」

今年も早や半分。もう夏だな。若かれし頃の夏はバイクに海、ダイビングにキャンプと好きな季節だったが、もう何もしない夏になってしまった。海に浸かったのもバイクに乗ったのも、キャンプしたのも30年以上前になる。私の育った田舎では中学生までは夏は毎日海に行ってたような。そんな記憶がある。まだまだコンビニなんかない時代だから、店先でやってたかき氷が楽しみだった。懐かしい。いまでも下町で時々見かけるかき氷のフラッグはとても好きだな。ホーロー看板もいいな。中でも「たばこ」のとぼけた文字はいい味を出していたな。誰が書かれたかは知らないけど、腕利きの文字書き職人だろうな。レタリングされた文字がすっかりなくなり、今やロゴタイプだってフォントをちょちょいと加工してそれでOKの時代だから、なんだか寂しいが仕方ない。 時の流れはいろんなモノを変えていく。ホタルの生息数も年々減少して20年ぐらい前と比較すれば1/10程度だそうだ。もう見れなくなるのかも知れないな。「蛍の光」、卒業式の定番の歌だったけど、もう歌う事もないんだろうな。最後にホタルを見たのは25年位前かな。友人の山小屋の別荘に行った時だと思うが。 ここちよい風、ゆらぎ、柔らかな光、リズム。静かな暗闇で光を放って飛び交う情景は幻想的で神秘的やな。そんな事を思いながら制作した「ホタル」。輝いて欲しいが…。年内にもう一つ。次は「ルート7」。

2023.03.22

新書体「風流」

Macでの仕事になって、もう33年ぐらいになるか。まさかパソコンで仕事をするなんて、これっぽっちも思ってなかった。デザインって仕事は職人みたいな仕事だから、手で描いてフィニッシュまでやるもんだと思ってやっていた。ラフの絵も描いて、文字も手書きで書いて、絵の資料集めに、本屋を回ったり、雑誌をめくりめくり探したり、まだまだコピー機も当然白黒だったし、拡大縮小もパーセント刻みではできなかったが、なんとかカタチにしていた。フィニッシュは指定原稿を書いて、写植指定して、写植屋、版下屋さんに走って、修正があるとまた写植屋さんと版下屋さんの繰り返し。OKが出てやっとこさ、版下に色指示を数値で書いて、印刷屋に入稿。3.4日後に色校正が出て、ええ、こんなはずやなかったと、やり直す。そうして色も数値で覚えたものだ。文字もまだまだレタリングされたものも多く、映画のタイトル、エンドロールの出演者の名前などのテロップも、レコードジャケットのタイトルなども個性ある書体が、いい味を出しているものがいっぱいあった。いつかはそんな仕事をしたいと思って、ロゴタイプの仕事は好んでやった。デジタルになってずいぶん楽になったが、今もアナログだったら、書体制作はしてなかっただろうな。デジタルで育った若者たちは、いいも悪いもそういう経験がないからな。そんなことを思いながら、「風流」が出来上がった。アナログ時代のレタリングを感じさせるような古典的な落ち着き、時の流れみたいなものをイメージした。次は「ほたる」。夏頃には。

2022.12.01

新書体「ツリー」

もう今年も後ひと月。毎年一年は早いなあと感じるこの時期。やってくるクリスマス、忘年会、大晦日。迎える新年。 昔は寒かったので、オーバーが要ったけど。いつからコートと呼ぶようになったのか。あまりあたたかそうに感じないけど、雪もあまり降らないし、まあいいか。ホワイトクリスマスってもう30年東京ではないらしい。すっかりまぼろしだな。クリスマスは、もみの木にいっぱい飾りをつけて、サンタ帽子をかぶったちびっ子たちが楽しそうにはしゃいでいて、家の外は雪が降ってて、いかにも寒そうで、暖炉のある家の中で過ごしてるようなイメージだったが。今では街は電飾で飾られたツリーに集まって写真を撮ってる若者、キラキラピカピカなイメージだな。ジングルベルで思い出すのは、1973年に甲斐バンドが歌った「かりそめのスイング」。高校生だったな。イントロが格好よくて練習したな。甲斐さんのあの声も魅力だった。オイルショックの時代、不況をも盛り込んだ歌。80年の終わりは山下達郎さんのクリスマスイブ。JR東海のテレビCM。今でもこの時期になると流れてくる。いい歌だな。グッときたなあ。元気だった広告業界。活気づいてたいい時代だ。そんなこんなでツリーができました。軽やかで、ほっこりゆっくり元気な書体。オイルショック、バブル崩壊、リーマン、もう死ぬまで不況はないと思ってたが、想定外のコロナ、戦争、円安でまた不況になるのかと思うと、人生甘くないなと思うこの頃。W杯のドイツ戦には元気をもらった人たちもいっぱいいるだろう。コスタリカ戦は残念だったけど。そんなこんなで次は「風流」。来春の予定で。

2022.08.01

新書体「新学園」

1999年モリサワ賞の金賞受賞作「学園」。7年後に「はるひ学園」としてモリサワからリリースした。時の経つのは早いもんだな。あれから22.3年になる。当時の制作意図は背が高い人、低い人。頭がいい人、悪い人。運動が得意な人、音痴な人。などなど。個性はデコボコでありながら、行事などはみんなが一つになって、まとまっていくような学校生活をイメージして制作した。その時はその時で目一杯のデザインだったと思うが、時が経てば気分も心地よさもずいぶん変わってくるな。今はもうあの時のような大胆さは出せないが、数をこなした分、うまくなったのかもしれないし、面白味がなくなったのかも知れない。気になる部分を調整しようと思ったが、結局全文字少し太めにし、骨格もすべて書き直した。大人の学園に仕上がったのではないかと思う。DSセレクト版の書体も目標としていた50書体完成した。いつ引退してもいいかなとは思ってはいるが、ほとんど文字づくりに時間を使ってきたので、やめてしまえば、たぶん退屈するだろうし、ボケてしまうか。まあ新たな目標は特にないが、出来るとこまでと言う事で、次は「ツリー」という書体を創ろうと思っている。年内までにできるかな。 暑い日が続き、日課の散歩も夕方から。熱中症、コロナもまた増えたし、戦争もまだまだ。暗いニュースも多いが、世の中平和でありたいと願うこの頃だな。

2022.04.12

新書体「新笑点」

すっかり暖かくなってきた。日も長くなった。桜もそろそろ終わり。あっという間に春が過ぎて、夏になるんだな。20年ぐらい前の今頃は何をしてたんだろう?と、ふと思う。よく覚えてないが、多分人生で一番よく飲んでいた時だと思うが。笑点という書体を22年前に制作し、FONT1000版として笑点角、笑点丸としてリリースした。フォントとしては読めることが前提にあるが、可読性をおさえて、遊び心いっぱいの勢いのある書体として制作した。まだまだ若かったな。その頃の文字と今回の文字は全く姿、カタチは違うが、楽しく、おかしく、笑えるような書体として制作したことは同じだな。いつもつくってる時は今までと違うものをと思いながら描いているのだが、長いこと書体づくりをしていると良くも悪くもだんだん整理されて、心地よいポジションに線が配置される。それがその人の個性なのかも知れないが、だんだんつまらなく感じていく。荒削りの良さ、大胆さは失われるのかもしれない。どんな仕事でもそうかもしれないが、今出来る範囲の表現でまた新たなカタチをさがしていく。そんな感じでまた次に向かう。次の書体は「新学園」。出来上がる頃は夏も終わりかな。
コロナも高止まりだし、このまま増えるのか、戦争もまだまだ続きそうだし、地震も増えているし、この先どうなるのか。と思う毎日だが、早く普通に笑える世の中に戻ればいいな。

2022.01.31

新書体「スゴロク」

昨年末で収まると思っていたコロナ君もまた変身してしまった。すごい勢いで毎日のように過去最多という言葉が飛び込んでくる。早くピークを迎えて急降下するのを待っている。そして今度こそは終息を願う。何が起こるかわからないのが人生だが、まー勘弁してほしいものだ。
さてさて、そんなこんなで昨夏に制作した「サイコロ」の続編になるが「スゴロク」ができあがった。私の小さい頃の遊びといえば、凧揚げ、独楽、ビー玉、ハジキ、トランプ、スゴロクなどなどだが、一人でやるものでなく、みんなでワイワイガヤガヤ楽しんだような気がする。アナログのあたたかさだな。手作りのあたたかさ、素朴さを感じてもらえるとうれしい。スゴロクとサイコロ。いいコンビだ。転がる石のように。三歩進んで二歩さがる。時にはお休み。サイコロには0がない。途中寄り道しても振り続ければ、いつかは上がりがくる。まるで今の世の中のようだな。上がりが人生の終わりなら、残り少なくなってきたので、ゆっくり半歩ずつ進んだ方がいいかもな。DS版の書体もこれで48書体になった。目標としてきた50書体まで後2書体。年内には出来そうだ。次は「新笑点」夏までには。

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