2025.03.20
新書体「カクウチ」
もうずいぶん昔、48年前かな。北九州の黒崎に勤めてる頃、この地域は工業地帯で煙突から吹き出る煙が空いっぱいに広がり死の海とも言われてきた。日本の近代化・高度経済成長の牽引役を果たしてきたのだが、汚染は代償だったんだろう。まだ若かったこともあり、災害も少なかったので余り気にはして無かったが。エネルギーが石炭から石油に変わった事もあり、今はすっかりきれいになりその姿は見る事はできない。当時私は事務職だったので残業はなかったが、現場で働く人は3交代もあり、夜間勤務もあった。当時現場で働くおじさん、今に思えば40歳ぐらいだったのかなあ。その方に連れて行ってもらった角打ち。酒屋で飲むなんてことはなかったし、不思議な処だと思った。まだ酒の旨さも知らない頃だったな。そんなことを思いながら制作した「カクウチ」。お酒好きが夜勤で飲めないので、酒屋が朝早くからそのために店を開いて店で飲んでもらうようになったらしい。角打ちは北九州生まれで、ここの工業地帯が発祥地だそうだ。今はもうすっかり商店街も寂れて店も無いない。東京にある立ち飲み、角打ちは随分オシャレになってあるにはあるが、ちょっと違うように思う。当時のイメージは男臭さに荒々しさ、子供っぽい大人、自由、我が道、汗を流して働く、豪放磊落、破天荒。そんイメージだったように思う。そんなアナログ的な文字をイメージして制作した。震災も多いし、異常気象。温暖化も、寒暖差も。この先どうなるのか。次は「ゆかり」。夏ぐらいかなあ。